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いい子とやばい人
虐待された子はいい子にならざるを得ない、と前回書いた。愛され、保護されるために、自分であることではなく、いい子であること、圧倒的に強い力を持つ大人に気に入られることを無意識に選ぶ。選ばざるを得ない。 「流浪の月」には、いい人ではなく、やば... -
「いい子」と、ありのまま
あんは、どうしたら自殺せずに済んだのだろう。あーでもない、こーでもないと、考えていた。 彼女は生きている、という事実。苛酷の中を生き延びている、という偉大さ。今ここに存在している、ということの重要さに、彼女自身が気づけていたら、認めること... -
自分の真ん中、ホームポジションに還る
前回、こんぺいとうの出来る様子に、自分を形作っていく仕組みを見た気がしたと書いたけれど、もう一つ、自分っていうものの一つの例示を見たと思ったことがある それは、バドミントンだ。通常は、鋭いスマッシュや、思いがけなくストンと落ちるドロップ... -
こんぺいとうと自分の芯
こんぺいとうというお菓子。綺麗な色のお砂糖の塊のような食べ物だけど、熟練した職人さんの手で、40度以上の室温の場所で何時間もかけて、作られるそうだ。 大きな板の上にばら撒かれる砂糖。少しずつ加えられ、何度も何度も動かされて、だんだんに星のよ... -
遠いから泣ける 近くて泣けない
中学3年生の時、父親が亡くなった何が悲しかったかと言えば、泣けなかったことだ 火葬場で「お父さん!」と泣き叫んでいる同い年くらいの女の子がいて羨ましかった目の前のお茶菓子を食べたいと思っている自分が情けなかった 忌引きが済んで登校した中学で... -
境界線の自由 距離の自在
自由をくれる境界線に加えて“自分”を作るもう一つの要素は、人と人の距離感覚だ。 わたしは小学校でいじめに遭って、学校を飛び出したことで先生や他の生徒たちが気づいてくれて、事なきを得た、という経験があるのだが、それからずっと不思議だったことが... -
自分を守る境界線で安心する
「自分は自分、他人は他人」という言葉がある。それほど腑に落ちないまま、聞き流していたのだけれど、アダルトチルドレンについて書かれた「子どもを生きればおとなになれる〈インナーアダルト〉の育て方」という書籍を読んで、“境界”という考えを知って... -
自分の中の、もうひとりの人
映画「あんのこと」の中で、わたしにとって最も哀しかったシーンは、団地の狭くて暗くて長い階段を、暴力を振るう母親に先導されて、バギーを抱えて登って行く場面だ。 「行くな、行かないで」と叫びそうになった。 なぜ、暴力を振るう母親の元に戻らなけ... -
ただここに居る、という奇跡な出来事
あんは何故死ななければならなかったのだろう。 誰も手を差し伸べなかったからすべてのつながりが断たれたから 彼女の中にあった彼女自身を動かしていた力は暴力とか抑圧とか、苦しいものでしかなかったから 無理やり彼女を動かす暴力どんなに苦しい思いを... -
石積みの石たち
熊本の地震の時に、多くの建造物が瓦礫と化した中で、壊れずに残った、熊本城の石積みのことを聞かれたことはないだろうか。 削ったりせず、その石や岩、そのままの形を活かして積まれた熊本城の土台。 この工法は、最澄の興した延暦寺のお膝元の地で生ま...
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